「昨夜、夜遊びしてきました。」
酒場の喧騒の中、唐突に低く短い言葉が俺の耳を貫いた
「へぇ。どうだった?」
「変態でした。」
「アハハ!それは良かった」
そこで彼女は視線を落としポツリと・・・
「楽しかったですよ(笑)」
俺は思わずニヤリとして
この好機を逃すまいと目の前に座る彼女のグラスに
ボトルから思い切り酒を注ぐ
「それで・・・どんなことを?」
テーブルに身を乗り出している俺へ彼女は不思議そうに視線を戻す
「うん・・・元彼となんだけど、他の男もいれて3Pしたの」
「うんうん、刺激になった?」
「はい、凄く萌えました(笑)」
「癖になりそう??」
「うーん、それなりに。でも本当は二人ともタイプじゃないの」
「そうなんだ・・・」
彼女は真っ赤な唇を琥珀色の酒でゆっくり湿らせる
「ねぇ、、、嫉妬してくれないの?」
「おいおい、そんなの言われてするもんじゃないぞ(笑)」
「なんだ・・・たまに私、、、壊れても良くない?」
「あぁ、全然構わないよ。もちろんその時は教えてくれるんだよね」
彼女はニコリともせず
白い喉元を見せながら一気に酒を飲み干した
「ところで・・・報告するから俺もたまに壊れてもいい?」
「え・・・別にいいわよ。私もそうだから」
彼女は煙草を咥え、すばやくライターで火をつける
「私、強くないといけないと思うと、、、セックスが逃げ場になるの。」
「あぁ、それはあるよね。」
「うん」
「互いにそれを知っているのなら良いんじゃないかな?」
俺はボトルを手に取ると
2つの空グラスを並べてたっぷりと酒を注ぐ
その様子をじっと眺めていた彼女は細く長い灰煙を吐き
グラスを強く掴んだ
「ねぇ、、、やっぱりこの話はやめる!!」
「え・・・?」
「私は壊れるけど教えないし、貴男が壊れるのも聞きたくない」
「どういうことかな?」
「もういいの!!これでこの話しは終わり。」
「・・・・」
「私はこの話しが全然楽しくなんかないし。気分が凄く悪くなるわ!!」
女というものは
自分たちに向けられた嘘はひどく嫌う癖に
自分たちがつく嘘は許してもらう。
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