どこの店にも常連という存在ができてしまう
その歴史が長ければ長いほど。
今回もそのうちの一人について・・・
彼女は、すぐ近くにある高級クラブのママだった
とても大人で艶っぽい雰囲気を持ち
当時の青臭い俺にとってみれば憧れのような女性
ある日から、自分の店が始まる前に
艶やかな着物姿で俺の勤めるバーに寄って軽く一杯
という感じでよく訪れてきた
もちろん、素敵な彼女のことは
すぐに店の従業員の中で噂でもちきりになってしまう
「いったい、どうしていつも独りでここに来るのかな?」
皆、思い思いに勝手な言葉を並び立てては想像をめぐらせていた
何せ、普通であればうちのようなバーには
たまに客と同伴で来たりもするはず
現にそういうクラブやスナックのママやホステス達は沢山居たのである
しかし、彼女はいつも独りでカウンターに座り
バーテンダー達と他愛もない会話を短く交わすと
自分の店へと向かう
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