その夜、俺とパートナーは
カップルのみのパーティをシティホテルのスイートで催した。
参加メンバーは・・・
知り合いの男女2組と彼らからの紹介が1組
まずは自己紹介を兼ねての会話から
それぞれのバックボーンを互いに把握しあう為にも
酒を飲み始める
すると、、、
その紹介カップルの男性が自らの経験を
滔々と語り始めた
「僕たちってお店に行くとあまり誘われないんですよ。」
「そうなんですか?、まったく大丈夫じゃないですか(笑)」
一見して彼ら二人ともに外見はごく普通であり、
マナーもありそうと判断した俺の返答に我が意を得たり!と
すかさず頷いた彼はそのまま言葉を続ける
「どうしてなんでしょう・・・」
「ほんとですね。」
普通であれば結論も出ない内容なので
ここで話題を変えるか
相手へ振るか、であろうが、彼はそんなことはお構いなし
「ところで、僕はこの世界は長いです、こいつで3人目の女ですが(笑)」
「あぁ、なるほど」
彼は傍らでじっと会話を聞いている
彼女を顎でしゃくると話し続ける
「こいつは何度も別れると言ってもついてくるんですよ」
「ほぅ・・・」
「やっぱり僕と身体の相性が良いからなんでしょうかね(笑)」
「そうですか・・・」
「僕がH好きな身体にしちゃったこともあるんです」
「それは、男冥利につきますね」
「いえ、結構しつこいんで、大変なんです」
「あらら、、、」
こんな調子で彼は自らの楽しいお話しを
延々と残り6人に聴かせ続ける
もちろん、他の参加者もそれぞれに会話を始めるのだが
悉く、彼のおかげで途中で話題が切れてしまう
「ところで、こんな面白い話しがあるんです!」
「あぁ、そうですか?」
違和感を感じ始めた俺の気の無い返事にも
一切気が付かない彼はそのまま独り延々と話し始める
「ねぇ、、、もういいんじゃないの?」
俺の耳元でパートナーが囁く
「あぁ。。。こりゃたしかに誰も誘わないな・・・」
連綿と続く彼らの素晴らしい物語の
佳境に入る前に俺達はその場をそそくさと離れることにした
「では、ちょっと失礼して私達はあちらへ行きますね」
ベッドルームへと向かう俺たちに
一瞥をくれると彼はもはや唾を飛ばして独演会を開始していた
「もう、うんざり。」
「あぁ、やはり一見してわからないこともあるもんだね」
俺はパートナーと囁き合うと
隣室から聞こえる演説をBGMに
俺たちの後にすぐさまベッドルームへと退避してきた
他のカップルと楽しい時を過ごす
もちろん、、、
4人の間ではもう言葉は要らなかった・・・(笑)