「わたし、、、きっと全てを抱えて居られないのだと思います」
「ええ、そうでしょうね。」
「たぶん、、、向いていないのだと・・・」
「でも、止められない?」
「はい。」
彼女は独り言を呟くように
途切れ途切れながら事実だけを述べる
そして、俺は淡々とそれを繫ぎ合わせて補足していくだけ
「自分で抑えきれなくなってしまうことが多くて、、、」
「すぐにでも求めてしまうのですか?」
「ええ、そしてずっと止まらなくなることも・・・」
「それは、見境なく?」
「かもしれません。」
「なるほど・・・」
「このままいくと・・・などと考えて自分が恐くなるんです。」
「もう、留まることができなくなると?」
「はい。」
決して我身が清澄な空気に満たされることもなく
荘厳な音楽も耳に流れはしない
微かに揺れる冷たい青白い炎の光のもとで
俺は教誨師のように取り澄まし
冷たく乾いた単なる言葉の羅列を
淫らに脂ぎった熱い欲望へと
ただ変換していく単純な作業に没頭し続ける
「赦しとは・・・」
「解放とは・・・」
そんな命題に対する答えなど
どこにもありはしないことを報せるためだけに
そして
虚空から垂らされる
ただ一筋の糸は切れることなどないことを