先程まで店内に充満していた
ざわめきが途絶えると
煌めいていた色とりどりの酒瓶も
今はその輝きを失い色褪せた影を鏡の上に落とし始める
一日の営業時間を終え
閉店したそのBARのカウンターで
彼はいつものように
黙々と様々な形をしているグラスを手にとって
真っ白な布で丹念に磨き上げていました
するとその夜に限って
いつもは厳格なチーフが珍しく彼の手を留めたのです
「おい、今日はそこまでにしていいぞ」
「今夜は素敵なお客様の誘いがあったから、お前もついてこい」
「え、俺もですか??」
「お前も一緒にってご指名なんだよ」
「うーん、だれからです?」
「そうそう、カウンターの角に座っていたあのヒトだよ」
そういえば
たしか閉店間近に
妙に艶っぽい真っ白なスーツ姿の女性が
たった独りで店を訪れ
カウンターの片隅でチーフと親しげに会話を交わしていた事を
彼は思い出したのでした
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