「痛いことって・・・たまに欲しくなるわ」
彼女は唐突にそう、呟いた
「たまに・・・??そうなのかい?」
俺はやや斜に構えて、その呟きに応じる
「ええ、でも恐怖は嫌なの。」
「どうして?二つは繋がっているよね。」
「そうかも。でも予測できないと嫌なのよ」
すかさず彼女は窓の外へと視線を逸らす
本心を明かそうとする時
彼女はいつも羞恥がまず先走る
だから俺はそんな彼女の感情を
揶揄しながらじっくりと弄ぶことにする
「だからこその恐怖なんじゃないのかな?」
「うん、、、でも恐怖の無い痛みをほんの少しだけ・・・が良いのよ」
「それでは与える方がつまらないぞ。」
「そうなの?」
「あぁ。そんな制御された刺激など面白くもないね」
「ごめんなさい。」
彼女は俯き、その視線を膝元へと下ろす
「それに・・・」
「それに・・・?」
「たまにとか、ほんの少しも気に喰わないね。」
「え?」
「いつでも、いくらでも、と逆に言い換えてみるなら面白いけどね(笑)」
「はい・・・」
「もちろん、最後に予測できないも付け加えてみる」
俺はニヤニヤしながら
彼女の視線を捉えようとじっと見つめる
「うん。」
自らの目論見を
すかさず察知された
その瞳には羞恥がすでに満ち溢れていた