「ふぅうう・・・スゴクイイ。」
湿り気を帯びた音とともに聞こえる男の呻き声
滴り落ちる液体を啜る淫らな物音に
見知らぬ女性の体温を感じながら微睡んでいた俺は目覚めた
闇の中、そっと薄目を開けると
傍らでは横たわる男のソソリタツ逸物を念入りに愛撫する見知った女
「あぁ、、、そうだった」
その夜、逢ったばかりの見知らぬカップルと俺たちは
ホテルの部屋で同衾していたのだった
ついつい過ごした酒の酔いで
ほんの一瞬の間に俺はどうやら眠ってしまっていたらしい
隣のベッドでは互いに男女が低く囁き合い
徐々に行為がヒートアップし濃密で激しい動きが始まる
「いい、、、気持ちいい。」
「そう・・・そう・・・そこをもっと」
周囲に目もくれず激しく絡み合い始める男女
そこで、彼らに刺激された俺は気づかれないように
隣に横たわる女性の肌にそっと触れてみたがまったく身じろぎもしない
きっとこの状況では俺と同様に目覚めているのであろうが
彼女は強く瞼を閉じたまま背を向けてしまう
つまり・・・
見知らぬ彼女はこの状況に
あくまでも狸寝入りを決め込むことにしたようだ
「なるほど。それならそれで・・・(笑)」
寝たふりをしている俺達は方向性は違えど
ある意味、その意思が共有されていたのかもしれない
獣のように全裸で交わりあう男女と
隣り合わせで眠りながらも身じろぎひとつもしない男女
その心理的アンバランスがいつ崩れるのだろうか・・・・
俺にとっては凄く興味深い。
もちろん俺は彼女とは違って耳に届く音だけではつまらないので
そっと気づかれないようにして
すぐ傍で繰り広げられている彼らの痴態を盗み見て愉しむ事にした
睦み合う唇と震えながら絡みあう舌先
重なりながら上下に蠢く腰
強く反り返る背中
絞めつける淫靡な両足
いつまでも続くかと思われる二人の交わりを眺めながら
心の中に氷と熱を感じ俺は密かにほくそ笑む
「さて、どうしてやるか・・・(笑)」
いずれ、、、すべてを剥ぎ取ってやる。