「君は縛られて何が楽しい?」
「そんなもの・・・まったく楽しくなんて無いわ。」
「それなのにどうして求めるの?」
「きっと貴方には判らないわよ。」
「そうか??」
「そう、間違いないわ」
彼女は俺の問いかけに
強い拒否の光を帯びた眼差しを向け
唇を尖らせて言い返す
「判らないと言われたら、どうしようも無いじゃないか?」
「ええ、そうよ。これは私だけのモノなの。」
「君のモノ??」
「うん、貴方には教えないし、絶対に渡せないモノ」
「ふーーむ」
彼女はいつも駄々っ子のようにして
俺の縄へ簡単にその身を任せない
ところが無理矢理にでもその身を押えつけられ
手首から二の腕へ幾重にも縛めが施されると
アッと言う間に大人しくなる
そして、、、
途端にその双眸を堅く閉じ、ゆっくりと呼吸を繰り返す
ギシッ、ギシッッ。
麻縄が大きく軋みながら
やがて徐々に彼女の全身を拘束し苛む。
俺は先ほどまでの彼女の悪態を思い出し
いつもより縄のテンションをついつい高めにすると
四肢を様々な角度にしならせ折り曲げて
しきりに責めたて、思い切り弄ぶ
「じゃあ、、、そろそろ限界かな。」
俺が縄目を解き始めると
彼女は切なげな表情を見せ
歯を食いしばり
まるでイヤイヤをするように左右に顔を振る
「ほら、縛るのも解くのも俺の自由なんだよ」
俺が得意満面でそう言うと
全身に塗れた線条の痕を愛おしそうに
自らの掌で撫でながら
彼女は呟く
「でも、、、この切なさだけは、、、私だけのモノ。」
「あぁ、それは君のモノ。」
「だから、、、ください」
俺は彼女の二の腕に残る
真っ青な模様を
そっと辿るように指で優しく撫でた
「キツク?」
「ええ、、、もっとキツク」