「あぁぁ・・・イイわ・・・」
「そう、そうよ・・・そのまま・・・」
「もっと・・・ええ、もっと。」
低く咽び泣くような声で彼女は全裸の俺に絡みつき
汗ばむ白い肌がしっとりとして合わさる
彼女の蠱惑的な瞳、淫蕩な舌、蠢く指、吸い付く肌、
すべてが若く未熟な俺の欲望の対象となった。
そして二人きりになると
狂ったように俺は彼女を寸暇も惜しまず何度も求め続けた
「ねぇ・・・もっと貴男に似合う若い彼女もいるんでしょ?」
「ええ、一応は・・・」
「たまには、こんな年上じゃなく、そっちがいいんじゃないの?」
「いえ、、、もう、戻れません」
「そう・・・?」
「はい。もう貴女を知ってからは・・・」
そういうと彼女の真っ赤な唇を塞いで激しく吸い始めた
それは決してお世辞ではなく
彼女の肉体を知って以来というもの
俺は同世代の女性との行為に興味が持てなくなり始めていた
カタン。
激しく揺れるベッドサイドから
一葉の写真が飾られたフレームが落ちた
「あっすいません。つい落としてしまいました」
「あ、いいのよ。」
いつもは裏返しにして置いてある
そのフレームを俺が拾い上げると、ほつれ毛をかき上げた彼女が受け取る
「これね・・・私の息子。」
「御免なさい、大事なものなのに・・・」
「ううん、大丈夫。」
俺はそのまま黙って彼女の物憂げな視線の先を追う
「貴男ってそういう所が好ましいのよね。」
「え?」
「つまり、余計なことは訊かない、言わない。」
「はい、、、」
「私ね、、、西の街に子供を置いてきてるの」
「ええ、、、」
「もう何年もの間、年に数回しか会えてない」
「はい。」
「だからって、淋しいからこうやって若い男を・・・て訳じゃないからね」
「はい、そうですね(笑)」
彼女は視線を俺に戻し、ニッコリ微笑むと
再び写真をそっとベッドサイドに裏返しにして置いた
「さぁ・・・続きよ。」
「はい。」
しかし、そんな時間も永遠ではない
ある雨の夜、いつものように店がはねると
彼女の家へと向かおうとしていた俺に一本の電話が・・・
「こんばんは、」
「ねぇ、もう終わりにしない?」
「え?終わり・・・ですか?」
「そう、終わりなの。」
「・・・・」
「貴男は今までで一番長くお付き合いできた男だったわ。」
「はい、」
「でも、もう今からは別世界なの。」
「わかりました。ありがとうございました。」
「うん、ありがとう。いい男になってね」
始まりと同じく終わりもいきなり、、、
その夜、俺は朝まで飲んだくれた。
あれから
雨の夜は妙に俺は酒が恋しくなる
了