事前に予約していたホテルに荷物を置くと
彼らの案内してくれた小粋な小料理屋へと向かう
「どうも、はじめまして・・・かな?(笑)」
「ええ、でも何だかそんな気はしないですね」
互いのグラスを持ち上げ
3人はよく冷えたビールを飲み干す
「なかなかこんな田舎なので、遊ぶにも一苦労なんですよ」
彼が周囲を気遣い、低い声で俺に話しかける
「そうですよね。かといってそう頻繁には都会へは行けないでしょ?」
「はい、自分達には刺激が少ない町なのですが仕方ないです」
「一番のリスクは顔見知り?」
「ええ、人間関係が濃密なだけに気が気じゃない(笑)」
「あはは、そうですよね。」
「だから、こうして他からお越しになる方がいると助かります」
「なるほど、やはり見知らぬ他人がいい?」
「ええ、こちらも心配しなくても良いので。」
「わかります。」
「な・・・そうだろ?」
彼は相好を崩すと傍らの彼女を振り返る
すると小さく頷いたその顔はやや赤らんでいたが
決してそれはビールのおかげだけではなかった
「実は今日のことを想像して、ここ最近二人で凄かったんです。」
「あぁ(笑)はい」
「ここから独りで部屋に行かせますが良いですか?」
「もちろん、大歓迎ですが、お二人では来られないのですか?」
「少し用事があるので私は遅れて行きます」
「わかりました。」
「それまでの時間、彼女を可愛がってやってくれますか?」
「はい・・・宜しくお願いします」
それまで伏し目がちだった彼女が俺を見つめて微笑む
思わずやに下がった俺は鼻の下が伸びていないか
自分でも気が気ではない(笑)
「では、そろそろ・・・」
「ええ、、、、」
徐々に緊張が高まってきた俺は一日の疲れも吹き飛び
そそくさと暖簾をくぐって店の表へと出た
「あぁ、涼しい風、とても気持ち良い夜ですね」
俺の左側に立った彼女が軽やかに話しかけ
ごく自然に腕を組んでくる
「では、行きましょうか?」
「はい。」
俺は腕を組む手に微かに力がかかり
生唾を飲む音が彼女に聞こえやしないかとハラハラした
つづく