雑然とした空気が
その分厚いドアの向こうから微かに伝わってくる
「ピンポーン♪」
俺がインターフォンを押してしばらく待つと
「あっ、こんばんは~~」
明るい女性の声が聞こえ、ドアが小さく開かれた
「こんばんは、Rです」
彼女は名前を確認するとニッコリと微笑む
「ようこそ♪ゆっくりしていってくださいね。」
その夜、俺と彼女は
ホテルのスィートルームで開催されるパーティに招待されていた
数多くの男女が行き交う。
グラスを片手に賑やかに語り合うモノ
所在無げにぼんやりと壁際に腰を下ろすモノ
周囲をキョロキョロと興味深く物色し続けるモノ
広い室内のそこら中に様々な思念が渦巻いていた
「みなさ~~ん!Rさんがお越しになりましたよ♪」
主催者が俺達の到着を室内にアナウンスする
その途端に部屋中からいくつもの視線が一斉にこちらへと向けられ
二人の全身にジットリと貼りつく
「うわっ、、、こりゃたまらんな・・・」
俺は内心でそう呟き
そそくさと彼女と絡みつく視線から逃れるように
大きなテーブルに群れる人混みに紛れ二人で腰を下ろした
周りに居るのは
全てが妖しい目的を露にし、集っている多数の見知らぬ男女
これから俺の大好物である
どんな駆け引きや欲望が見られるのか・・・
俺の冷徹な観察者としての欲求が徐々に膨らんでくる
もちろん、それは、、、
まず行為者である事の見返りに過ぎないのだが(笑)
つづく