「よろしくお願いします。」
俺はややうわずった声をAさんにかけると
その整然と組まれた細い手首を固定し肉感的な二の腕を経て
彼女のたわわな胸に食い込むよう
几帳面に整えながらしっかりと縄を回す
「はい、、、少しきつくても大丈夫ですよ」
長い髪を束ねたうなじを見せながら
彼女ははっきりとした声で俺に応える
「何かあれば遠慮なく仰ってくださいね」
「ええ、もちろん(笑)」
無言のまま集中して
彼女の背後で丁寧に縄を返しては留める
「ふぅ・・・」
ここまで何も言われずにきたので
ひと安心した俺は周囲から向けられている好奇の視線に
そこでふと気がついた
「おっと、こりゃ恥ずかしいことはできないぞ」
途端に力が入った俺は
その視線に応えようと魅せる為に基本の形のうえから
足し縄をして縦に飾りをいれてみることにする
するといきなり・・・
「痛い!そこの縄が食い込んでダメです!!」
「は、はい、」
俺はAさんの大きな声に慌てて
新たに縛めた腕の縄を解くとかけ直す
「あっ!ダメ!!今度はこっちの縄が動いておかしい」
「え?わかりました・・・」
もうそれからは
一気に俺の縛りはグダグダに(汗)
つまり欲目による
一本の縄を加え変えることで
すべてのバランスが崩れてしまったのである
「最初はバランスも良くテンションも程良かったんだけねぇ」
すべての縛めを解かれたAさんは
俺に向かって静かにアドバイスをしてくれた
「私ってすごく縄に対して我儘なの♪」
「そのようですね」
「うん、縛りには心地良さを求めてしまうし」
「ええ、今日はお蔭様で勉強になりました」
「いえいえ、まだまだこれからだけど頑張ってね(笑)」
「は、はい(汗)」
彼女のその最後の頬笑みは
俺にとって思わず冷や汗モノであった
「さぁさぁ!今日はもうこれで縛りは終わり!!」
「ゆっくりと飲むぞ~~」
そこで主催者の彼がまるでタイミングを計らったように
宴会のスタートを宣言した
つづく