様々な人々が行き交うターミナル駅
構内にある喫茶店の中は
時計を始終眺めつつ列車を待つ人
人待ち顔で絶えず周囲を見渡している人
到着しひと息を入れようとしている人
数多くの人いきれに満ちていた。
「ねぇ・・・これからどうするの?」
「あぁ、そうだな、、、まずは一服しよう」
彼女はその大きな目を見開くと
周囲をさも忙しそうに飛び回る店員を呼びとめようとした
「すいませ~~~ん!!」
「コーヒーを2つお願いね」
「はい、わかりました。」
俺は彼女と店員とのやりとりをぼんやりと眺めながら
ふと自分の横顔に貼りつく視線を感じた
そこでその方向に目を遣ると
そこにはコーヒーカップを手に持ち
静かに微笑みながら男性と語り合う女性の姿が・・・
「えっ!!」
彼女は以前とまったく変わらないエクボを見せながら
その切れ長の目を男性へとまっすぐ向けている
「へぇ~~まったく変わってないなぁ」
そう独り呟きながら俺は熱いコーヒーを啜った
「ん?どうかしたの??」
目の前で彼女が怪訝な表情する
「いやいや、別になんともないよ(笑)」
「そう?なんだか怪しい・・・」
「あはは(汗)」
彼女はその大きな目をこちらへじっと向けると
これからの予定について話し始めた
俺は慌ててタバコに火をつけながら
もう一度視線を彼方へと泳がせこっそりと心中で嘆息した
「しかし・・・またかよ。これで何度目なんだろう」
視線の先には睦まじく男性と会話するエクボの横顔
今までに俺は偶さか過去の女性達と遭遇するケースが幾つもある
それも必ずと言っていいほど互いのパートナーを伴っており
一度などは海外でもそういう目に・・・(笑)
「ねえ!話しを聞いてる?」
「あぁ、ごめんごめん」
「まったっくぅ」
そこで再び俺はタバコに火をつけた
ところが俺は眼の端に彼女達が席を立つのを感じ
またもやついつい視線を向けてしまった
すると切れ長の黒い瞳が俺をしっかりと捉え
ほんの一瞬視線が絡み合う
「久しぶりね。」
「あぁ、君も変わってないね」
瞬間に交わされた視線から
そんな言葉の遣り取りが俺の脳裏にくっきりと浮かぶ
気もそぞろな俺は視線をとにかく目前の大きな目に集中させようとした
そしてレジへと向かう彼女達は俺達の背後を通り抜ける
ガタン。
「あっすいません。」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
軽く椅子にぶつかった彼女の切れ長の瞳は爛々とした光を湛え輝いていた
「さぁ、これからどうする?」
やっとのことでタバコを灰皿に押し消すと
俺はしっかりと前を向きコーヒーを一気に飲み干した