テーブルに腰をおろすと
緊張が未だ解けずにいた彼は
そっと彼女の白い掌を
手繰り寄せじっと握りしめていました
しかしその仕草を黙って見つめながら
あくまでも平静な口調で俺は会話を続けたのです
まるでそれは
硬く結ばれた縄目を
解きほぐす為に必要な事前作業のように…
「今夜は色々とよろしくお願いします」
意を決した彼の口から
ついにその言葉が発せられた瞬間
テーブルの下で
彼の左手は彼女の掌から離れ
両膝を通って内腿へと移り
吸い込まれるように繁みの奥底で蠢き始め
グラスを持つ右手は小さく震えた
「わかりました。」
「ではそろそろ向かいますか?」
俺は彼の言葉に応じると
二人をそこに置き去りにしたまま
わざとすばやく独り席を立ち出口へと向かいました
何故ならもうすでに
硬かった縄目は大きく緩み
ただ解きほぐされるのを待つばかりなのです。
つづく
テーマ : エロス
ジャンル : アダルト