「最近、彼からの連絡がすごく少なくて…」
「え?どうかしたのかい??」
しばらくすると
今度は沈んだ声でM美が電話をかけて来ました
「うん、わからないけど。」
「何だかわたし避けられているのかもしれない」
「おいおい(笑)」
「今までもこういう事ばかりだったし…」
「うーん」
俺は彼女が愉しめていける相手を
やっと見つけた事で安堵したばかりだったのですが
早くも二人の間には
小さな綻びがどうやら生じ始めていたようです
「あれから彼とは逢えていたのかい?」
「うん、3回くらいかな。」
「でも、うまくいってたんだろ?」
「そう思っていたんだけど…」
「だけど??」
「きっとついていけないって思われたんだと思う」
「そうなの?」
「私がどんどんとエスカレートしていくと彼が醒めていくの。」
「ふむ、でもそんな事は思い違いなんじゃ?」
「実はね、この前に逢った時に言われちゃったの(笑)」
「なんて?」
「ゴメン。もうこれ以上はできないって…」
「え?」
「針くらいなら大丈夫みたいだったんだけど」
「私の身体を血まみれにして切り刻む事に耐えられなかったらしいの」
「そうなんだ…」
「私って受容れられない程にオカシイのかもね。」
「でも何とか彼とは続けてはいけないの?」
「そうしたいけれど難しいかな。」
「彼と話してみなよ!」
「うん…」
「でも彼に土下座されて謝られたらどうしようもないよ。」
「・・・・」
その瞬間
俺は彼女にかける言葉を失い
しばらく黙りこくってしまいました
「わたし、どうしてこんなカラダなんだろう。」
「辛いよ…」
彼女が小さく発した
その言葉は受話器を通じて
残響のように俺の耳に何度も谺した
了