『曼珠沙華』
これを見る者はおのずから悪業を離れるという天界に咲く花。
薄暗いその部屋は
数人の男女がしきりと漏らす
湿った吐息に満ち溢れていました
ふとその薄闇から
視線を転じると
中央にひときわ明るく感じられるライトが
円く照らされています
やがて
猿轡を口に咥え緊縛された
全裸の女性が男によって引き立てられ
その円の中心に横たわると
一瞬ドヨメキが波紋のように室内に広がる
幾つもの淫猥な視線が一斉に
悩ましげな彼女の白い肌の上を無遠慮に這いまわり
あさましい欲望と恥辱にまみれた
彼女はその全身を縄の下で妖しげにクネラセ
震える程の快楽を覚え始めたのです
「あぁ… お願い… 堪忍して。」
くぐもるような
その声は欲望にかすれていました
真紅の蝋燭に火が点ると
室内のざわめきが静寂へと瞬時に変化する
男は横たわっている彼女の傍らで
充分に溶かした熱蝋を溢れるまでに満たし
畏怖を煽り立てるように
目の前にその様を見せつけました
ところが顔を左右に振り
怖気づいた表情を彼女は見せながらも
その瞳は大きく見開かれ激しい情欲に潤んで
キラキラと炎を反射させているのです
まずは最初の一滴が…
真紅の華が一輪
その白い肌に大きく咲くと
彼女は激しく身悶えた
「あうぅぅ。」
物欲しげなその姿態は
男を更に冷酷な行動へと駆り立て始めたのです
やがて
熱蝋の曼珠沙華を身に纏い
白い肌を隙間なく埋め尽くされた
彼女は爛れた欲望の奈落へと堕ちていったのです
テーマ : SM
ジャンル : アダルト