しばらくの間
彼はあまりの出来事に茫然と立ち尽くしながら
その耳に残された囁きの残滓と歯の感覚を消化しきれないでいた
「一体、何だろう!?」
「店には戻らないといけないよなぁ・・・」
ともかくそう考えた彼は
そそくさと店へと戻る事にしたのです
ところが
席へと戻った彼を待っていたのは
それまでと全く変らない雰囲気だったのです
彼女は何食わぬ顔で彼を見つめると
チーフとの会話にいそしみながら
「あら、おかえりなさい。。。」
と優しく微笑みかけてきたのです
そこには先程
彼女が垣間見せた
凄まじい淫らさなど微塵もありませんでした・・・
やがて時も過ぎ
充分に酔いが廻ってきたのか
チーフがウトウトとし始めました
「では、そろそろお開きにしましょうか?」
彼女はそういうと立ち上がり
二人の男を従えながら店を出てさっさと一台のタクシーを停めたのです
ところが車にチーフと彼が乗り込もうとした時
突然彼女はその手で彼の腕をしっかりと掴んで引っ張ると
そのままタクシーのドアを閉じてしまいました
「おやすみなさい」
「この子とは同じ方角だから送っていってあげるわ」
走り去るタクシーを見送りながら
取り残された彼の頭の中は再び混乱し始めました
「ねぇ、これから家に来ない?」
彼の耳元で囁く彼女の顔には
さっき垣間見た表情がマスマス濃厚に現われていたのです
「はい。。。」
その返答に満足したのか
彼女はすかさず白い腕を彼の腕に絡めると
すぐ近くにある自分のマンションへと歩き始めました
つづく
テーマ : エロス
ジャンル : アダルト