先程まで店内に充満していた
ざわめきが途絶えると
煌めいていた色とりどりの酒瓶も
今はその輝きを失い色褪せた影を鏡の上に落とし始める
一日の営業時間を終え
閉店したそのBARのカウンターで
彼はいつものように
黙々と様々な形をしているグラスを手にとって
真っ白な布で丹念に磨き上げていました
するとその夜に限って
いつもは厳格なチーフが珍しく彼の手を留めたのです
「おい、今日はそこまでにしていいぞ」
「今夜は素敵なお客様の誘いがあったから、お前もついてこい」
「え、俺もですか??」
「お前も一緒にってご指名なんだよ」
「うーん、だれからです?」
「そうそう、カウンターの角に座っていたあのヒトだよ」
そういえば
たしか閉店間近に
妙に艶っぽい真っ白なスーツ姿の女性が
たった独りで店を訪れ
カウンターの片隅でチーフと親しげに会話を交わしていた事を
彼は思い出したのでした
その店は深夜にも関らず
数多くの酔客で騒々しい程の賑わいを見せていました
「お疲れなのに付き合ってもらってごめんなさい」
「いやぁ、こんな私(達)で良ければ、いつでも誘ってください」
「ほんとう?良かった」
「今夜は私がお誘いしたんだから、どんどん飲んでくださいね」
まったく要領を得ないまま
彼はチーフとともに店の一角にある
薄暗いボックス席に座り
おずおずと彼女に向かってグラスを掲げ乾杯すると
しばらくの間
緊張した面持ちで会話を交わしている
二人の大人達を傍観していたのです
たまに
はにかむような笑みを浮べては
ごく自然にしなを作る
そんな彼女の仕草は夜の世界に生きていると言う
女性独特の雰囲気を彼に感じさせていました
「今夜はどうして私(達)を誘ったんですか?」
「えーっとね」
「たまにちょっと疲れる時ってありません?」
「ええ、わかりますよ」
「それで、フラッと貴男たちの居るお店に入って独り飲んでみたの」
「うんうん」
「でも私やっぱり賑やかなのが好きだから・・・」
「ついついお二人とも誘ってパァーって飲みたくなったの(笑)」
「わたし、こう見えても小さなお店開いているの」
「だから疲れる事もあったりしてね。。。」
「あ!でも宣伝じゃないからね」
「そうなんですか?今度お邪魔しますよ」
「あは、でも無理しないでね。できればでいいから・・・」
「とにかく今夜はパァーっと飲みましょう!!」
やがてお酒もすすみ
そんな大人の話題に彼もたまに絡みながら
会話が弾みだした頃
彼はトイレへ向かう為に席を立ち店の外へと出ました
なぜならその店はビルの地下にあり共有トイレだったからなのです
ところが
彼が便器に向かって用をたしていると
背後に人の気配をふと感じたのです
それもごく近い距離で・・・
思わず振り返ると
そこには彼の肩越しから逸物を覗き込もうとする
彼女の顔があったのです
そして
その表情は先程までとうって変ったように
うっすらと紅く色づき
淫らで好色な笑みを浮かべていました
彼女はあまりの事に驚いている彼を
背後から抱きすくめて
その耳たぶを軽く噛むと
露わになっている逸物に手をやり
一気に握り締めながら
カスレタ声で囁いたのです
「また、後で・・・」
つづく
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