「こんな大事故で怪我ひとつ無いなんてすごい奇跡だよ!」
茫然とその場に立ちつくしている
俺に向かって警官が驚いたように話し掛ける
そして
どしゃ降りの雨が降る中
事故の現場検証を終えた二人は
パトカーに送られて最寄の駅から帰路についたのです
夜も更け
激しく降り続いた雨が止む頃
最終列車が駅のホームに滑り込むように到着すると
彼女は蒼白な顔をしてそれまで黙ったまま
ずっと握り締めていた
俺の手をそっと離すと席から立ち上がった
やがて
人影もまばらな改札口に
二人が辿り着くと
まるで永遠の別れを惜しむかのように
その切れ長の黒い瞳を
潤ませながら
彼女は俺に小さく囁いた
「ありがとう・・・」
「うん、またね・・・」
そして
それが俺と彼女が交わした
最期の言葉となってしまったのです
あの夜以降
まったく彼女と俺は音信不通となり
逢う事はもちろんの事
電話で話す事さえもできなくなったのです
まるで
厚いヴェールに包まれたかのように
彼女は俺の前から
その姿を消し去ってしまいました
もちろん
今に至るまで・・・
あの事件で
再び軌道に逆戻りさせられ
結婚したらしい・・・
数年後
俺は風の噂で
そんな彼女の事を耳にしたのです
We’re all alone ~ふたりだけ~ (Boz Scaggs)
Out side the rain begins and it may never end.
So cry no more on the shore a dream.
Will take us out to sea.
For ever more, for ever more.
Close your eyes Aimie and you can be with me.
‘Neath the waves throught the caves of hours.
Long forgotten now.
We are all alone, we’re all alone.
Close the window, calm the light.
And it will be all right.
No need to bother now.
Let it out let it all begin.
Learn how to pretend.
Once a story’s told it can’t help but grow old.
Roses do lovers too, so cast,
your seasons to the wind.
And hold me dear Oh, hold me dear.
「ねぇ・・・」
思わず
感傷的な想いに耽っていた
俺にむかって
空港で出迎えた彼女が
一言囁いた
「触れさせてくれる・・・?」
俺はすぐさま
アクセルを緩めると
彼女の右手が与えてくれる感触を愉しみながら
ゆっくりと左車線にハンドルを切った
さすがに
俺はもう焦らないのです
くれぐれも
走行中は危険ですからね・・・(笑)
<了>
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