深夜の国道を小1時間ほど走り
俺が辿り着いたのは
とある駅前に建つ立派な高層マンション
そこで
教えられたルームナンバーの部屋へと向かい
恐る恐るドアチャイムを鳴らすと
出てきたのは
大きな眼をした小柄な若い女性でした
「どうも!こんばんは~」
彼女は明るく飾り気の無い声で
俺を迎え入れてくれたのです
落ち着き無く
リビングに置いてあるソファーに座ると
「やぁ、良く来てくれました」
良い香りを漂わせているキッチンから
電話の声の印象とは違ってやや渋い感じの男性が
少し顔を出して
俺に挨拶をしてきました
「ありあわせのモノで申し訳ないけれど・・・」
彼は手馴れた仕草でいくつもの料理を仕上げると
素早くテーブルの上に並べ始めた
「彼女はね、いつも食べる役目だけなんですよ(笑)」
にこやかに彼はそう言いながら
俺の正面に
腰を降ろしたのです
それからは
真夜中という事を忘れさせるほど
室内には和やかな時間が流れ
彼に手による美味しい料理とアルコールの酔いが
会話を弾ませました
「この世界には随分と前から入り込んでしまいましてね・・・」
彼はそう切り出すと
スワップの世界での出来事を
自分自身の猥らな経験談も織り交ぜながら
語り始めたのです
「しかし、いつも出逢いには苦労させられます」
「良いお相手は貴重で変え難いですからね」
そうさりげなく彼は
今夜の『招待』の訳を俺に伝えると
「そろそろ、お風呂の支度もできたのでいかがですか?」
と会話を締めくくったのです
そして
俺が彼によって促されるまま
大きなバスタブに浸かり
ひとり鼻歌交じりでのんびりと寛いでいると
ガラス越しに人影が・・・
「お邪魔しますね」
バスルームのドアを開け
入ってきたのは
先程まで俺の傍らで大人しく座りながら
会話の最中
ずっと静かに相槌を打っていた彼女でした
まるで象牙のように
滑らかで白い肌を晒して
薄く翳りを帯びたような表情をした彼女は
先程までとはうって変わって
大胆にも俺の横にその身体を滑り込ませると
肌を摺り寄せてきたのです
つづく