待ち合わせ場所は
オフィス街の真ん中にある噴水公園
週末の夕刻に数多くの人間がひたすら安穏さを求めて
賑わいを見せる一角で
Y夫婦はLカップルと逢う事になっていた
何しろ互いに事前の写真交換と電話での会話も済ましているとはいえ
なんとなく警戒せずにはいられなくなり
Y氏は奥様を物陰に待たせたまま
自分独りで目印となる噴水前で落ち着き無く佇んでいました
すると
そこへ写真よりもやや若く見えるL氏と彼女がやってきました
「はじめまして Yさんですよね?」
明るい挨拶と彼らの雰囲気に安心したのか
Y氏は奥様を呼び寄せながら、やや緊張した面持ちで挨拶を交わします
物慣れた雰囲気のL氏は
「ここではなんですので、静かな場所で落ち着きましょうね・・・」
と言いながら
素早く女性をエスコートしつつ
彼らを近くの落ち着いた雰囲気のお店へと誘ったのです
「スイマセン、先ほどは・・・
やはりどうしても初めてなので警戒してしまいました」
正直にまずは非礼を詫びるY氏に
「いえいえ~良くあることですし、仕方ないですよ(笑)」
とL氏は鷹揚に頷き
「まずは緊張を解く為にもお酒でも飲んでお話ししましょうよ!」
と二人の緊張を解きほぐすかのように話し始める
L氏の落ち着いた話し方と慣れた雰囲気に
硬い表情を少し和らげたY氏は
傍らで視線を上げる事もできずにいた奥様を促し
会話を始めることとしたのです
乾杯のあと
L氏と彼女に視線を遠慮がちに向けながら
Y氏は緊張を再び感じ始めていた
それを感じとったのでしょう
L氏はさりげなく互いの自己紹介をしてみましょうと提案し
気楽な日常会話へと誘導しました
互いに年代の近い四人は
話題も豊富なL氏の話術とお酒の影響もあったのか
数時間も経つ頃には
気楽に視線を交わしながら楽しく会話できるようになりました
ところが
全てにおいて初体験であるY氏
次の展開へのキッカケを探しあぐね
そのうえ
頭の中に様々な疑問・質問が浮かんでは消え
会話の途中から落ち着きを失いつつあったのです
彼の表情に浮かんだ焦燥感を素早く感じとったL氏
会話の合い間を見計らったように
「近くのシティホテルに部屋をとっていますので
四人で場所を移してお話ししてみませんか?」
と誘いかけました
その瞬間
Y氏が奥様に視線を向けると
彼女はY氏の手を強く握り締めながら
そっと小さく頷いたのです
Lカップルと連れ立って
シティホテルの一室へと向かうY夫婦は
先ほどまでの心地よい感覚が徐々に失われつつある中
これまでにない
緊張感の高まりと強い刺激に急速に襲われ始めていたのです
それは以前の
Wさんとの淫らな行為にも感じえなかった程の強さでした
「見知らぬ他人との
ただ欲望だけの関り」
ついに
その一歩を踏み出す瞬間をY氏と奥様は迎えたのです
まだ、その先にある
纏わりつく情の存在を見知らぬまま
欲を満たさんが為に
つづく
テーマ : 男と女
ジャンル : アダルト