一晩中、降り続けていた雨も止み
朝方には街灯がぽつりぽつりと仄かな光を失いつつある
閉店後の勝手口に独り佇んでいた俺をタクシーに乗せると
彼女は豪奢なマンションの玄関をくぐる
「ずっと私に付き合わせてごめんね。」
「いえ、気にしないでください」
「疲れたでしょ?シャワーでも浴びてらっしゃい」
「はい。」
磨き上げられた白い大理石に
覆われたバスルームで熱い湯を浴びて出ると
いい匂いが・・・
「軽くおつまみを作ったの、、、食べてみて」
「ありがとうございます。とっても美味しそうですね」
「どうしても、この仕事だと朝になるとお腹が空いちゃうのよ(笑)」
「ちょうど私もお腹が空いてきました。」
「そう?良かった。ちょっとだけ待っていてね・・・」
彼女は俺のグラスにビールを注ぐと
そそくさと別室で着替え、代わってバスルームへと向かう
しかし、独り置かれた俺は豪華な室内の雰囲気に圧倒され
ソワソワとして落ち着かなかった
カチャッ。
激しい水音がひとしきりして止むと静かにドアが開かれる
いきなり部屋の照明がやや落とされ
素面の彼女がそこに立っていた
「お待たせ。」
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