「どうも、はじめまして・・・」
「はい。こんにちはぁぁ!」
駅前の雑踏で彼らと待ち合わせていたのだが
俺からの挨拶に明るく応じる彼は
周囲の賑やかさにもめげず無邪気に元気いっぱい(笑)
「今、彼女と二人で事前に教えて頂いていたホテルを下見してきました」
「ははは、そうですか?」
「ええ、先に場所を見ておきたかったので。」
「なるほど、、、では、まずはお食事でもしながら」
こりゃ・・・
相当に気合いが入っているぞ!
そう感じた俺は少々戸惑ったのだが
ともかく彼らと当初の約束通りに食事を摂ることに・・・
「カシコマリマシタ。」
ウエイトレスが注文を取り終えると
途端に会話が進み始める
互いのシチュエーションの確認、妖しい嗜好へのきっかけや方向性ナドナド
それは毎度こういうカップルと出逢う度に
必ずありがちなパターンであり
俺はスムーズに応じて受け流す術を既に身につけている(笑)
「ところで・・・僕はこの世界を覚えてからカメラが趣味になったんです」
「そうなんですね?」
「はい、その為に本を3冊も買ってしっかりと勉強しました!」
「はい、、、それは凄いですね」
「Rさんも撮影お好きなんですよね?」
「ええ、たまにやりますよ。」
その辺りから、、、
彼らと知り合った時から感じていた微妙な違和感が
俺の中で再び大きくなってきた
「じゃ、打ち合わせしていたように、今日はRさんも一緒に撮影してみましょう」
「ありがとうございます。私はそこまで本格的じゃないけれど・・・」
「いえいえ、気にしないでくださいよぉ」
「では、こちらのはヤマ勘ですが、そのお言葉に甘えますね(笑)」
「はい、うちの彼女を綺麗に撮ってやってください」
「とにかく頑張りますよ」
「Rさんと互いにお手並み拝見ってことで(笑)」
「はい・・・(汗)」
俺は彼の話に相槌を打ちながらも
やや辟易し始めていた
「彼、すごく綺麗に私を撮ってくれるんですよぉ」
傍らの彼女がそこで合いの手を入れてくる。
「それは、素敵ですね。」
俺のご追従にすぐさま続いて・・・
「Rさんはカメラは何をお使いですか?」
「いえ、、、そこらの適当なコンパクトカメラです」
「あぁ・・・僕は○○○の一眼レフです」
「へぇ、さすがですね。」
「ええ、やっぱり一眼レフは違いますよ!」
「そうですか・・・」
これではまるで、彼らとのメールでのヤリトリの再現のようである(汗)
「では、そろそろホテルに向かいますか?」
「はあい!」
そこでサッサと会話を切り上げ
こっそりと悪戯っぽい想いを俺は内に秘めて
自信満々なお二人を自らのパートナーと共にお連れすることにした。
つづく