「いいですか・・・」
「何も気にせず思うが侭にしていてください」
「まったくポーズなども要りません。」
俺はレンズを向けると
一瞬のうちに訪れるシャッターチャンスを窺いながら
彼女達にそう指示した
すると目の前で
暫くの間、お互い恥ずかしげに
見詰め合っていた二人は
その身体を抱き寄せ合い
やがてその唇を合わせて舌を交互に絡め始めた
うんうん・・・(笑)
静かに俺はひとりほくそ笑む
その夜、是非にも自分のパートナーを撮って欲しいと
依頼された俺達は彼と彼女が待つ部屋へと向かった
「僕は彼女の思うままに自由にさせてやりたいんです。」
「だから、決して彼女の意思を尊重して無理はしません・・・」
彼はニコニコしながら自らの嗜好を
懇切丁寧に傍らに佇む女性へ
まるで言い聞かせる様にクドクドと俺達に説明し始める
「純粋に女性を悦ばせてあげるだけで僕は充分嬉しいんですよ!」
しかし・・・得てして
過去の経験からこういうパターンは
決して額面通りでないことを俺は知っていた(笑)
案の定、撮影を始めた途端にその兆しが。。。
「あっ!そこは駄目です。」
「ごめんなさい!!ちょっとそういうの僕はどうも違うと思うんですが?」
「僕の感覚から言うともっと綺麗なポーズを決めた方がいいです」
そこで徐々に面倒になってきた俺は
「わかりました!でも一度彼女達の自由にさせてあげてもいいですか?」
「ええ、、、もちろんそれもいいですね。」
彼は渋々と言った風情で俺に応じる
「では・・・申し訳ないですが少しの時間だけ見ていてください」
まったく、虚勢を張るのもいい加減にしろ・・・・
思わず俺は
心中でそう呟きそうになるのを
ヒタスラ堪えた(笑)
「あぁぁ・・・メンドクサイ男。」