BGMが静かに流れるお店の中へ入った
俺とQちゃんは玄関脇の薄暗い明りの下に
机がポツンとひとつ置かれた小部屋に通されました
「まずは、身分証明書を拝見させてください。」
「それから…」
「この誓約書を良く読んでからサインしてもらえますか?」
ニコリともせず無愛想な表情で
妖しい雰囲気のマスターはそう告げると
俺に向かって一枚の紙とボールペンを差し出し
奥の部屋へと引っ込んでいきました
そして
とにかく俺は言われるがままに
その誓約書に目を通してみたのですが
A4サイズの紙には
『店内規約』と書かれており
ビッシリとお堅い文章が隙間無く並んでいます
「こりゃ、大変だ~(汗)」
俺は思わずそこで溜息をついてしまいました
やがて全てを読み終わり
サインした誓約書を持って俺はQちゃんと
マスターに伴われて店内にあるカウンターに移動しました
「ふぅ、やっとこれで大丈夫かな(汗)」
ところが
そう俺が思ったのも束の間
マスターがカウンター越しに語り始めました
「さて、いいですか?これから説明をしますが…」
「ご理解できない場合はすぐに帰ってもらってかまいませんので!!」
彼はそう言うと
先ほどの規約が書き込まれてある
二人分の分厚いファイルを取り出し
俺達の目の前に置いて
一文づつ丁寧に読んで解説を始めたのです
もちろんその説明の最中
鬼気迫るようなマスターは余所見など出来る雰囲気は
一切与えてくれません
さてここまでで
入店から約一時間経過です(大汗)
さらにそこから約30分
店内の設備の使用法や各部屋の説明
飲食物のオーダー方法や他のカップルへのマナーなど
マスターは一言一句澱みなく話しながら
店内を懇切丁寧に俺達を連れ歩いて指導してくれました
「これで終わりです。」
「ではどうぞ、お楽しみください!!」
やっとの事で
マスターから解放された
俺とQちゃんは
もう既に何だか疲れを感じ
傍らにあったソファにグッタリ腰かけてしまう程でした
すると
隣に近寄ってきた一組のカップルが
突然俺達に声をかけてきました
「今夜が初めてなんですよね?」
「え?判ります??」
「はい、そりゃ~~(笑)」
「ですよね?(汗)」
思わず苦笑いを
そのカップルと交わした俺は
気にかかっていた事を彼らに質問してみたのです
「ところでどうしてココってこんなに煩いのですか?」
「そうですね…」
「やはり非常識な方が増えてきたからみたいです」
「なるほど。」
「正直、やり過ぎって感じもしますけどね(笑)」
「うんうん!!ですよね~~」
「でも仕方無いってところもありますしね…」
「えぇ、まぁ。」
「私達の時も初めはすごく煩かったんですけどね。」
「みんな同じ目にあうんですか?」
「あはは、そうですよ」
「でもみんな初めての時だけですからね」
「え?じゃあ二回目からは??」
「もう、全部素通りでいけますよ(笑)」
「そうなんですか~」
「さもないとマスターの方も持ちません(爆)」
「たしかに…(大汗)」
どうやら
『非日常』には
人一倍『常識』と『体力』が必要とされるようです(汗笑)
了
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