「こんな大事故で怪我ひとつ無いなんてすごい奇跡だよ!」
茫然とその場に立ちつくしている
俺に向かって警官が驚いたように話し掛ける
そして
どしゃ降りの雨が降る中
事故の現場検証を終えた二人は
パトカーに送られて最寄の駅から帰路についたのです
夜も更け
激しく降り続いた雨が止む頃
最終列車が駅のホームに滑り込むように到着すると
彼女は蒼白な顔をしてそれまで黙ったまま
ずっと握り締めていた
俺の手をそっと離すと席から立ち上がった
やがて
人影もまばらな改札口に
二人が辿り着くと
まるで永遠の別れを惜しむかのように
その切れ長の黒い瞳を
潤ませながら
彼女は俺に小さく囁いた
「ありがとう・・・」
「うん、またね・・・」
そして
それが俺と彼女が交わした
最期の言葉となってしまったのです
あの夜以降
まったく彼女と俺は音信不通となり
逢う事はもちろんの事
電話で話す事さえもできなくなったのです
まるで
厚いヴェールに包まれたかのように
彼女は俺の前から
その姿を消し去ってしまいました
もちろん
今に至るまで・・・
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