「お邪魔いたします」
低く抑えた声とともに襖がすっと開かれた
「今夜はわざわざお越しいただきありがとうございます」
「どうも、ご主人。こちらこそイロイロとお世話になります」
俺とご主人がひとしきりの挨拶を交わし終えると
すかさず女将が俺達の前に手際よく膳部を調えていく
「拙い田舎料理ですが、どうかご賞味くださいませ」
「いやぁ、、、これは美味しそうですね」
「素材はこちらの地の物ばかりですので、新鮮さは自慢できます」
「うんうん(笑)」
俺は目の前に並べられた
色とりどりの皿や小鉢に盛られた料理に目を奪われた
「ところで・・・女将さんは何か踊りでもされてました?」
「恐れ入ります・・・実は以前にこの近くの場所で左褄を取っておりました」
「あぁ、なるほど。」
「なにせ挙措振る舞いがとても映えておられましたので・・・」
「ありがとうございます」
「では、私は板場に戻りますが、何なりと女将に申しつけください」
「はい、ありがとうございます」
そして、俺たちは店が閉まり
彼らの手が空くまでの数時間を座敷でまったりと過ごすこととなった
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